YOGAコラム

呼吸について

たかが呼吸、、。

普段の生活の中で、自分の呼吸について意識したことがある人はほとんどいないと思います。

ちょっと思い出してみてください。

人間関係がうまくいかなかったり、仕事でいやなことがあって、これが気になって夜寝られない時。

このような不安な心の状態の時は、息の仕方は不安定で、速くなります。
不安が何日も続くと、息がときどき途切れるようにさえなってきます。

反対に、「今日から仕事は長期の連休だぁ!」「ずっと喧嘩して口もきかない状態だったけど、今日は仲直りできた」という時、
この時の息は、落ち着いていて、穏やかで、スムーズに楽に呼吸が出入りしています。

このように、無意識に人の心の状態が、まるで鏡のように映り出てくるのが息です。
息は「自分の心」と書きますね。
心の状態が、そっくり息の仕方に出るということです。

誰もが、どんな時でも、穏やかな気持ちで日々を送りたいと思っていますよね。

しかし、「心を落ち着かせたい」といくら頭で思ったところで、落ち着くことはできません。

自分の中には二人の自分がいます。

自由に操れる自分と、自由に操れない自分です。

心理学でいわれるところの「顕在意識(=意識)」と「潜在意識(=無意識)」です。

心の働く力が全体で「10」としたら、
自由に操れる自分の力は「1」で、
自由に操れない力は「9」です。

つまり、人生は、自分で自由に操れない自分が支配しているのです。
だから、人生は、思うようにいかない。

しかし。
この、自由に操れない自分(潜在意識)に
唯一アクセスできるのが、
なんと呼吸なのです。

呼吸は自分の無意識と繋がっているのです。

人生を変えたいなら、まずは息に意識を向けて、自分の息の仕方に「気づく」ことが大事です。

気持ちが萎縮しているときは、
息を胸いっぱいに吸いたがり、
逆効果で胸が苦しく、重くなります。
吸ってばかりの人は、落ち込んだり怒ったりと感情の起伏が激しい。
メンタルコントロールが難しく、胸が柔軟性を失い、詰まった状態です。

実は、ヨガの最終目標は心の安定です。

様々なポーズも、末端までの体への集中も、
いろんな呼吸法も、すべて、この心の安定を目指すためにあるのです。

「はぁ~」と気持ちよく、心のヘドロや頑張りすぎを吐き出す呼吸でポーズをとる。
ゆっくり、丁寧に、味わうように。

体の内側から解放されていく感覚が生まれます。

さらに「丹田(子宮のあたり)」で吐けるようになると、
重心が下に下がり、精神力、気力、胆力が養われ、心が強くなり、肝が据わります。

呼吸が上手くなるには3年はかかると言われていますが、続けることが大事です。

ヨガを続けると、だんだん自分の呼吸や精神状態に気がつくことができるようになります。

ヨガは、客観的に自分を見て、感じ、
今の自分に気がつき、
まずはいやな自分を否定せずに受け入れ、
そして、意識的に呼吸を使って、そのブレた自分の軸を中心に戻していく作業です。

自分自身の力で立て直す。

これを知っているのと知らないのでは、現代社会の生きやすさが全く違ってくると思います。

人生、次から次にいろんな事が起こりますが、
その度に、ヨガをしながら、はぁ~と何度も吐きましょう。

ヨガをし終わった後は、
ガチガチに鎧をまとっていた自分から、
鎧を脱いだ、柔軟性のある自分に戻っています。

呼吸の力、すごいですよ。